News&インタビュー
MySDGs

【折兼】わたしたちのSDGsを紹介

6年程前からサトウキビの搾りかす、竹害になる竹、麦の不可食部である麦わらを混ぜ合わせて「バガス容器」という食品容器を製造しており、本来は捨てられるものをアップサイクルする取組みをしています。
「バガス容器」は植物由来原料からできており、北九州市立大学さんとの共同研究で生分解性※¹のエビデンスを取得しています。当社の容器は土の中で約70日、海の中だと約150日、コンポストだと約1日で分解されます。エビデンスを取得した当社のバガス容器は、パルプモールド※²という分類の容器なのですが、160アイテムを展開しており、おそらく世界一の品ぞろえになるかと思います。
また、「HACCP international」※³という国際認証機関があるのですが、原材料・工場・製品が安全ということで、使い捨て食品容器では世界初の認証を取得しています。他には、「グリーン購入ネットワーク」というグリーン購入※⁴に率先して取り組む企業、行政機関、民間団体のネットワークの中の「エコ商品ネット」※⁵にも使い捨て食品容器では初めて掲載されました。
商品を当社だけの基準ではなく、エビデンスや国際基準の認証を取得しながら、環境に配慮した商品開発と普及を進めています。

※1微生物などの生物の作用により分解する性質
※2植物繊維(木材パルプ、非木材パルプ、古紙など)を水で溶かし、金型で抄き上げた後、乾燥させ出来る紙製品。
※3国際認証機関「HACCP international」社が食品製造現場で使用する資材・器具などについて、国際的な食品安全の基準に適合しているかを評価し、合格した製品にライセンスが与えられる認証制度
※4環境への負荷ができるだけ少ないものを優先して購入すること
※5製品やサービスの環境情報と事業者の環境面・社会面の取り組みに関する情報を掲載している日本最大級の環境情報データベース

 

SDGsをはじめたはなし

約7年前に当社の社長が、瀬戸内海の真ん中で船釣りをしていた際に、最初に釣れたのがレジ袋だったそうです。
包装資材を取り扱っている会社としては「一番釣ってはいけないものを釣ってしまった」というショックと、当時は99%プラスチック製品を販売しており、海ごみの問題は以前から気にかけていたことが重なって「これではいけない!」と思い、環境に配慮した商品の開発を進めたのがきっかけです。
実は、最初にバガス容器に挑戦したのは約20年前の「愛・地球博」でした。20年前は環境配慮への意識が現在ほど浸透しておらず、バイオマス製品などは出始めで高価だったため、売れずに在庫を抱えてしまい、挑戦は大失敗に終わりました。
そういった経験があったことと、食品包装資材容器の販売量が国内ではトップクラスでしたので、容器についてのノウハウを持っていたことも重なり、バガス容器はスピーディーに開発することができました。

バガス容器は今注目されていますが、理由を教えて下さい

ここ最近、バガス容器の採用が増えているのが、イベントなどに出店されているキッチンカーですね。
他にも、サブスクの冷凍弁当容器への採用が非常に伸びています。採用が伸びている理由として、プラスチック容器は冷凍下での衝撃に弱く、電子レンジでの加熱で容器が変形、溶ける場合があります。それに対し、当社のバガス冷凍弁当容器であれば、冷凍下でも繊維質なので割れる心配もありません。耐熱に関しては、200度まで耐えられます。プラスチック容器よりも耐熱・耐寒性が高いので、メニューの幅が大幅に広がります。
さらにバガス容器は繊維質なので程よく水分が抜け、電子レンジで加熱してもプラスチック容器と比べて、べちゃっとしないので美味しいという感想をいただいております。「管理栄養士監修」や「○○シェフ監修」のような味にこだわっている商品にバガス容器を採用いただくことも多いです。

バガス容器は環境配慮だけでなく、料理を引き立てる容器として満足いただけていることで注目されているのではないかと思います。

成功した、努力したはなし

開発を始めた当時、バガス容器は欧米をメインに流通していました。
そのため、日本人にはサイズが大きすぎたり、お米のこびりつきに対応できなかったりと、少し難があったので日本市場向けの型の開発が必要でした。特に苦労したのはお米のこびりつきなのですが、解決策として当社ではプラスチックフィルムを貼ることを考えました。しかし、「せっかく環境に配慮しバガス容器を製造するのにプラスチックフィルムを貼るのか?」と中国工場からは疑問の声が上がり理解して貰えませんでした。開発チームは、時間をかけて辛抱強く何度もやり取りをし、生分解のあるPLAフィルムを貼る事で中国工場にも理解してもらった事を覚えています。

試行錯誤し取組みを進める中で、市場でも評価をいただいているのですが、海と日本PROJECT※⁶の海ごみゼロアワード「環境大臣賞」を受賞し、またグリーン購入大賞で「優秀賞」を受賞など、民間団体、自治体などが主催するアワードで受賞しました。受賞する前は使い捨て容器を販売していますので、少なからずゴミになる商品を販売している会社という意識があったと思います。しかしながら、賞を受賞したことで世の中に貢献できているという評価をいただきましたので、グループ会社を含め社員全体が自信を持てたことが一番良かったと思います。

※6国民一人ひとりが海洋ごみの問題を自分ごと化し、”これ以上、海にごみを出さない”という社会全体の意識を向上させていくことを目標に、日本財団「海と日本プロジェクト」が推進しているプロジェクト

みらいのはなし

先日、お子様から学生、企業などさまざまなジャンルの方にバガス容器について知っていただこうと「エシカル消費実証実験&お仕事体験」を実施しました。
イベント内容は、学生にお店でお仕事体験をしていただき、バガス容器で提供する食事とプラスチック容器で提供する食事の2種類を用意し、バガス容器はプラスチック容器で提供される同じ食事よりも若干高額に価格を設定して販売するというものです。結果は、約75%の方がバガス容器を選択されました。
学生が実際に説明しながら販売を行ったので、このような結果につながったのだと思います。

使い捨て容器は使用後にはゴミになってしまうため、使用後も再資源化する取組み、ゴミの排出量削減の取組みを行っていきたいです。
再資源化に関しては、本来捨てられる容器を回収し堆肥化し、その堆肥を使って有機野菜を育て、育てた有機野菜を料理で提供していただくというようなことができたらいいなと思っています。ゴミの排出量の削減に関しては、例えば、イベントで出た生ごみと当社の使用済みのバガス容器を生ごみ処理機で混ぜ合わせて分解する様子を展示して、その場で体感していただくことでPRして認知度を上げていきたいなと思っています。

「エシカル消費実証実験&お仕事体験」もそうなのですが、やはり実際に体感していただく、知っていただくことが大事なことかなと。こういったイベントを通し多くの方に知るきっかけを提供できればと思います。

 

家庭でできること

先日、学研キッズネットさんが主宰されている自由研究EXPOに出展した際に、ブースではクイズ形式でバガスのことを知っていただき、バガス容器やカトラリーセットをお配りしました。実際に自宅で容器を土に埋め、約70日で自然分解する様子を観察する自由研究を提案したんです。お子様だけでなく、親御様も約70日で自然分解することにとても驚かれていました。

このように、バガス容器の分解実験はご家庭で簡単に実施・実感できるので、楽しみながら環境配慮の取組みにチャレンジしていただければと思います。

 

企業紹介
株式会社 折兼
食品包装資材では、国内トップクラスのビジネス基盤でフードビジネスに必要なインフラを提供し、豊かな食生活を支えます。
販売、管理、企画・開発、物流の各部門により、食に関わるさまざまな企業をサポート。また、複数のサイトやメディア、店舗を運営し容器の販売や、販促用品の提案などもおこなっています。
YouTube:折兼ラボチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCd8p-r4qXTBSMlk1CcA80cw
〒451-0044
愛知県名古屋市西区菊井2-6-16
TEL:052-561-3662  FAX:052-686-2787
「一歩進んだ」サスティナブルな
毎日をスタートしよう!